紛争の内容
Aさんは、介護施設の従業員として勤務していましたが、いきなり勤務先から身に覚えのないことを理由に勤務地変更の命令を言い渡され、勤務地変更に応じなければ退職してもらうと言い渡されてしまいました。
Aさんは、色々と思う点がありましたが泣く泣く退職に応じたものの勤務先の対応に不満を感じ、当事務所に相談・依頼をしました。
当方は、 施設側が、正当な理由なくして「勤務地変更に応じないなら辞めてもらう」と迫った行為が、実質的な解雇予告や違法な退職強要にあたるのではないかとアドバイスしました。
また、Aさんは在職中に発生していた時間外労働に対し適切な割増賃金が支払われていなかったことから、過去に遡ってその支払いを求めることにしました。
交渉・調停・訴訟等の経過
交渉段階において、当方は、施設側に対し勤務地変更の命令の根拠となる証拠の開示を求めたものの、中々進展が無かったため、交渉での解決は困難と判断し訴訟提起へ移行しました。 訴訟において、まず重要なステップとなったのが客観的な証拠の収集です。
当方は、違法な退職強要を理由とする損害賠償請求・未払賃金請求をしつつ、施設側に対し、勤務時間を記録しているタイムカードや勤務地変更の命令の根拠となる証拠の開示を求めました。
訴訟が進む中でも、施設側は中々勤務地変更命令の根拠となる証拠すべてを出す姿勢を示さず、当方は、尋問手続で真相を明らかにする必要があると検討していました。
本事例の結末
もっとも、Aさんは、真相解明よりも早期解決を求めていたため、当方はAさんの意思を尊重し、早期解決につとめました。最終的には、施設側がAさんに対し、「こちら側が求めていた未払残業代の請求額の約8割の金額(約50万円)」を支払う内容での和解が成立しました。
本事例に学ぶこと
すべての主張を認めさせること(全勝)にこだわると、立証の難しい「心の傷」や「強要の有無」で泥沼化し、疲弊してしまいます。本件のように、「譲れる部分(退職強要の主張)」と「譲れない部分(残業代)」を切り分けることで、精神的なリセットと経済的な補償を早く手に入れることができます。
会社側からの理不尽な退職強要にお困りの場合は、弁護士にご相談ください。
弁護士 吉田 竜二
弁護士 安田 伸一朗







