賃金設定のルール付けが明確でないケースが多い
一部の大手企業は別として、採用時に抽象的な賃金設定を口頭で聞かされたのみで具体的な雇用条件が記載された書面は交付されないという会社が多く存在します。
そのような会社では、1日1万●千円、それ以外は出ない(残業代を含む)との説明のもと、給与明細にはその金額に出勤日数をかけた金額と計算根拠の分からない●●手当(例えば、「乗車手当」)との合計金額が記載されている、ということは起こり得ます。
固定の手当で残業代を支払うということ自体は禁止されていませんが、その手当が残業代の支払いと認められるためには、その手当が所定の賃金ではなく残業代として支払われているということで、明確に区別ができていなければならないとされています。
上記の賃金設定では、どの部分が残業代の支払いであるかが区別できないため、残業代の支払いがされていない(または一部しか残業代が支払われていない)と判断されることとなり、別途、残業代の請求を会社に対して行うことができます。
労働時間管理が厳密に行われていないケースが多い
労働時間管理をタイムカードではなく、タコグラフの記録上に書き込む等の方法で行っている会社が多く存在します。
運転手という業務の性質上、待機時間と休憩時間の区別がつきにくく、その色分けをタコグラフの記録上で事後的に行うことは難しいため、本来は待機時間である部分を休憩時間として扱っている会社もあります。
タコグラフの記録には車両の停止時間が多く記録されますが、実際は待機時間であるにもかかわらず、休憩時間として扱われている停止時間を待機時間として修正をしていけば、その分労働時間が増加することになります。そのようば場合、その分の時間について会社に対して残業代の請求を行うことができます。
収集すべき証拠
時間単価について
雇用契約書、労働条件通知書、賃金規程、給与明細、口頭で条件を伝えられた際のメモ書き等があります。
口頭で賃金説明がなされたケースでは、残業代に関する説明の有無及び内容について言った言わないの水掛け論になることが多いため、入社時からメモ等の記録を残しておくことをお勧めいたします。
労働時間について
タイムカード、タコグラフ、運転日報、待機時間に関するメモ書き等があります。
タコグラフの記録自体の改ざんは難しいとは思いますが、運転日報については事後的に修正液等で改ざんされていたというケースも存在したため、在職中に写しをとっておくということも有益です。