職場復帰を希望される場合

解雇か退職かの判断

まず、事実関係を精査し、会社に対し、解雇の無効事由があればそれを主張し、解雇が無効である旨の連絡を行います。具体的には、解雇通知書・解雇理由証明書の発行を会社に依頼し、内容を確認します。
労働者ご本人の話を聴いたり、会社とやり取りを行ったりする中で、当事者間では解雇ではなく、退職という認識であることが判明するケースがあります。
ただ、当事者間の認識が退職であっても、法律的に見れば解雇であるという場合も多くありますので、客観的な事実関係を精査して、解雇か退職かを判断することになります。

不当解雇の場合

不当解雇である場合、労働者としての地位があることの確認を求める訴訟と解雇後の賃金の支払いを求める訴訟を提起することが考えられます。
解雇の種類(普通解雇・懲戒解雇・整理解雇)や解雇理由に応じて、訴訟等での主張は変わってきます。
解雇の無効ついては、解雇の3類型に応じて下記のように主張することになります。

普通解雇の場合

労働契約法16条により、解雇は、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当でなければ無効となります。
そのため、まず、解雇理由について検討します。就業規則等の解雇理由に該当する事情があったとしても、その事情の内容や事実関係によっては、解雇が無効になることは十分あります。
解雇に至った事実関係(会社と労働者との間でどのような出来事があったのか等)を検討します。

懲戒解雇の場合

労働契約法15条により、懲戒解雇は、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当でなければ無効となります。
普通解雇の場合と同様に、懲戒解雇に至る経緯等の事案ごとの事実関係を精査して、懲戒解雇の無効を主張していくことになります。
懲戒解雇は、懲戒処分の中では最も重い処分であり、労働者に非常に大きな不利益をもたらすものですので、懲戒解雇の効力の検討では、特に、他の懲戒処分で代替できなかったのかということや他の懲戒処分をどの程度行ってきたかということ等が考慮されることになります。

整理解雇の場合

整理解雇とは、会社の経営上の都合により、労働者に解雇事由がなく行われる解雇を指します。整理解雇は、会社の都合により一方的に行われるものですので、労働者を保護する必要が高く、有効となるためには、厳しい要件をクリアする必要があります。
最一小判昭和58・10・27等の裁判例において、①人員削減の必要性、②解雇会費努力を履行したか否か、③人選の合理性、④手続きの妥当性という4つの要素を考慮して有効・無効を判断することとされており、実務上もこれらの要素を考慮して効力を判断することとされています。