解雇されたらどのように対応すべき?~解雇の有効性を争う手順を解説~

解雇されたとき、解雇を争う方法があるのか、どのような方法で争うことができるのかについてお悩みになることがあると思います。今回は解雇を争う方法と手順について解説をいたします。

本当に解雇事案なのかを確認する

本当に解雇事案なのかを確認する

労働者の側が解雇を言い渡されたと思ったとしても、使用者の側は、雇用契約の合意解約の申込みをして合意が成立したと考えている場合があります。その場合、解雇はなされておらず、退職の合意の成立を争うべきですので、どちらなのかが良く分からない場合は、確認をする必要があります。

解雇の理由を書面で説明してもらう

労働契約法16条において、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定められています。

労働契約法16条違反になるか否かについては、解雇の理由がわからなければ判断がつきません。そのため、解雇を言い渡された場合には、解雇の理由を説明する証明書の交付を使用者に対して求めるのが適切です。なお、労働基準法第22条第1項及び第2項において、労働者は使用者に対して解雇の理由を説明する証明書の交付を請求できると定められています。

解雇理由証明書を使用者が交付しない場合は、労働基準法第120条第1項に基づき、使用者は30万円以下の罰金に処せられる可能性もありますので、労働基準監督署に申告することも検討することも考えられます。

解雇の理由を特定する

使用者が示す解雇の理由としては、①労働能力の欠如・喪失、②労働者の適格性の欠如・喪失、③労働者の規律違反行為、④経営上の必要性などが挙げられますが、具体的にはどのような事実が解雇の理由になるのかを調べる必要があります。

使用者が具体的な事実を明らかにしない場合、口頭又は文書で使用者に対して説明を求め、回答させるということも場合によっては必要になります。この際、労働者本人が使用者に説明を求めるか、弁護士が代理人として説明を求めるかについては検討の必要があります。弁護士が説明を求めると、解雇の理由を後付けで説明されることがありますので、注意が必要になります。

使用者が労働者に解雇の理由を説明していた場合であっても、弁護士が代理人となって交渉や裁判を始めると使用者が以前説明したのとは異なる理由を主張し始めることがありますので、早い段階で使用者が主張する解雇の理由を特定することが重要です。

なお、懲戒処分としての解雇の場合には、懲戒処分の根拠となる就業規則の規定が何であるか、また、どのような事実がどの規定に該当するのか、使用者に説明させる必要があります。

法令の違反や、就業規則違反がないかを確認する

法令の違反や、就業規則違反がないかを確認する

労働災害で負傷したり病気になった場合に、療養のために休業をしている期間及びその後30日間は、使用者は労働者を解雇することができません(労働基準法19条)。

また、使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならず、また、産後八週間を経過しない女性を就業させてはなりませんが(産前産後休業と言います。)、産前産後休業中の女性を解雇することも禁じられています(労働基準法19条)。

そのため、解雇にこうした法律違反がないかについても確認をすべきです。

また、就業規則や労働協約の手続き条項に違反していないかについても、確認をするのが適切です。

就労の意思を明らかにして、退職を前提とした行動を取らない

解雇が無効の場合、解雇期間中の賃金を請求することがあり得ますので、解雇の無効を主張して、働く意思があることを示すのが適切です。解雇の撤回を求め、就労の意思がある旨を内容証明郵便等の書面で明らかにすべきでしょう。

使用者が、解雇予告手当や退職金を口座に振り込んできた場合、使用者に対して内容証明郵便を送付し、本来支払われるべき賃金に充てる旨を通知しておくとよいでしょう。

職場で働き続ける意思がない場合

職場で働き続ける意思がない場合

仮に、職場で働き続ける意思がないときは、解雇が不法行為にあたるとして、使用者に対し、逸失利益(相当期間の賃金相当額)や慰謝料を請求する方法があります。

もっとも、どれだけの額の損害賠償が認められるかは、まだまだ未知数であり、満足するほどの金額にはならない可能性もあります。そのため、金銭的な補償を求めたいという場合は、解雇の撤回を求めて、解雇期間中の賃金の請求をすることを検討すべきでしょう。

まとめ

まとめ

以上の通り、解雇を言い渡されたときに、解雇を争う方法と手順を解説しました。解雇を言い渡された場合には、以上のようなことを検討して、解雇を争うことを検討して頂くのが良いと思います。その上で、解雇の撤回を求めるべく、弁護士にご相談を頂くのが望ましいと考えます。

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 村本 拓哉
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