「退職金がもらえない」「退職金は出ないと会社から言われた」「会社に迷惑をかけたのだから退職金は払わないと言われた」このような場面に遭遇した方やそれらについて知りたい方に向けて、退職金がもらえる場合やその不払いへの対応について解説します。

初めての方にもわかりやすく解説しておりますので、ぜひご覧ください。

退職金とはどのようなお金か

退職金とはどのようなお金か

そもそも、退職金とはどのようなお金なのでしょうか。
給料とどう異なるのか、疑問に思われる方も多いでしょう。

退職金は、「賃金の後払いと過去の功労への報償」の二つの性格を併せ持つと言われています。

本来退職金は賃金の後払い

本来、退職金は、賃金の後払いであると言われています。

毎月皆さんが受け取る賃金のうち一部が、退職時にまとめて支払われると理解されています。

会社に就職してから会社を退職するまで、在籍した期間が長ければ長くなるほど退職金が高額になるのは、これが理由の一つです。

退職金は功労への報償という側面もある

一方、退職金は、その従業員が会社にもたらした成果や頑張りへの報償であるとも言われています。

頑張ったからといって成果が出るとは限りませんが、成果を出せばそれに報いてもらえる制度であったならば、従業員としても日々の仕事を頑張る理由になるはずです。

一般的に、在職中に従業員が成果を出したり、多くの労力を割いた場合には、ボーナスが与えられますが、これだけでは長年働いて会社の基礎を作った従業員らが報われません。

このように、短期間では評価されない功労を反映するのが退職金であるとされています。退職金の支給事由が従業員の退職事由ごとに定められているのも、退職の際に会社に迷惑をかけたことで「功労」が減ったとみられるからです。

退職金がもらえる場合ともらえない場合

退職金がもらえる場合ともらえない場合

実は、退職金について、支給しなければならないとかこの金額を払わなければならない、などと法律に定めが置かれていません。

これをどうするのかは、あくまで会社と従業員の間の契約(就業規則)にゆだねられています。

退職金がもらえる場合

退職金を請求できる場合とは、端的に言えば、「退職金(退職手当)を支給する」と就業規則に書いてある場合です。

上でもお話したように、退職金を支給する会社であれば、就業規則にこれが書かれているのかというのが非常に重要ですし、従業員である方の多くが、会社に就職する際に退職手当について一度目を通していたはずです。

もっとも、退職金が支給される旨が就業規則に書いてあっても、実際には退職金がもらえない場合もあります。

退職金がもらえない場合

退職金が支給される旨が就業規則に書かれていない場合、退職金は請求できません。

また、退職金が支給される旨が就業規則に書かれている場合でも、退職金が請求できない場合もあります。

例えば、就業規則に「懲戒解雇された者及びそれに準ずる重大な非違行為を行った者については、退職金を支払わないことがある」などと書かれている場合です。

多くの会社では、これに類似する規定が就業規則にあります。

そして、懲戒解雇されるなどして退職することになった方の中には、これらの就業規則を理由に退職金を不支給とされてしまいます。

就業規則をよく読む必要がある

退職金が給付されるか否かの判断は、就業規則に退職金の定めがあるかや就業規則に従えば退職金をもらえるのかによります。

もっとも、退職金を支給する場合にどうしなければならないか、は法律に書かれています。

退職金(退職手当)を支給する場合には、会社(常時10人以上労働者を使用している会社に限られます。)は、適用される労働者の範囲、決定・計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項を就業規則に記載しなければならない(相対的必要記載事項。労基法89条3号の2)とされています。

また、会社(使用者)は労働契約を締結した際に、退職手当の決定・計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項について明示しなければならない(労基法15条1項,労基則5条4号の2)とされています。

そのため、退職金がもらえるのか気になった方は、まず自分の会社の就業規則を確認してみることが重要です。読んだことがないという方も多い就業規則ですが、皆さんにとって見逃せない内容が書かれているかもしれません。

本当に退職金は0なのか

本当に退職金は0なのか

退職金を支給する旨が就業規則にあっても、退職金の請求ができない場合はあります。「懲戒解雇」の場合や「重大な非違行為」をした場合です。

会社に迷惑をかけたのだから仕方ないと思う方もいらっしゃるでしょう。

もっとも、会社に迷惑をかけて一切の退職金が不支給となった場合でも、退職金の請求が可能な場合があります。

例えば、懲戒解雇された従業員が、「懲戒解雇により退職するもの、または在職中懲戒解雇に該当する行為があって、処分決定以前に退職する者には、原則として、退職金は支給しない」と就業規則に書かれていたとしても、退職金請求の一部が認容された裁判例(小田急電鉄事件(東京高裁平成15年12月11日))があります。

この事件において裁判所は、「退職金全額を不支給とするには、それが当該労働者の永年の勤続の功を抹消してしまうほどの重大な不信行為がある」ことが必要である旨を述べています。

これは、会社に対する直接的な背信行為(業務上横領や背任など)ではなく、職務外の非違行為を理由に懲戒解雇される場合に、その行為が会社の名誉信用を著しく害したり、会社に現実に損害を与えるような非違行為を理由とする必要があることを要求していると理解されています。

また、この裁判例では、今までの勤務態度や実績も考慮されるべきと述べられています。

まとめ

まとめ

これらのように、退職金が支払われるかどうかは、退職金について定めた就業規則の有無、及び退職に関係する事実関係に左右されます。

会社から懲戒解雇を言い渡され、その理由に納得がいっている方でも、退職金を請求できる場合があります。

これらの判断は、裁判例の傾向や実務上の取り扱い、詳細な事実認定を必要とするのですから、あまり労働問題にかかわることのない方には蒸すかしい側面があります。

そのため、退職金を不支給とされたとしても、弁護士に相談されることがおすすめです。

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 小松原 柊

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