紛争の内容
正社員として雇用されてから約1年という短い期間で、有期雇用契約期間の途中に会社都合による整理解雇をされたという事案です。
労働契約には期間の定めがあり、期間満了前の解雇であったため、「雇止め」ではなく、労働契約法の理由のない解雇として、その正当性を追及する必要がありました。
依頼者の方からは解雇の無効を主張し、未払賃金相当額の支払いを求めていました。
交渉・調停・訴訟等の経過
ご依頼をいただいた後、まずは会社に対して解雇の不当性を指摘し、交渉による解決を目指しましたが、会社側は当初、話し合いに応じようとしませんでした。
交渉では解決が困難であると判断したため、直ちに裁判所に解雇無効を主張する訴訟を提起いたしました。
訴訟という法的手続きに移行したところ、会社側は即座に態度を軟化させ、裁判所を介さない訴訟外での和解に応じました。結果として、依頼者様の主張する未払賃金相当額の全額を回収することができ、早期に紛争を終結させることができました。
本事例の結末
会社側が解雇の無効を認め、訴訟外での和解が成立しました。依頼者様は解雇された期間の賃金全額に相当する金銭を受け取り、経済的な被害を完全に回復することができました。
本事例に学ぶこと
有期労働契約の期間中に解雇を行うためには、理由が必要です。会社側の判断は容易には認められません。
本件のように、契約期間満了前の解雇は、法的に追及する余地が非常に大きいです。
会社が交渉に応じない、あるいは解雇の正当性を強硬に主張し続ける場合であっても、感情的な議論に終始せず、法的根拠に基づいた訴訟という最終手段を躊躇なく実行に移すことが、紛争解決の鍵となることがあります。
いざ訴訟を提起するという断固たる姿勢を示すことで、会社側が敗訴リスクや費用、時間的なコストを考慮し、迅速な和解に応じるという結果に繋がりました。
法的な主張を明確にし、迅速かつ戦略的に法的手段を行使することが、結果として権利と経済的利益を全額守り抜く上で最も効果的な方法であるため、訴訟も視野に入れて進めていくことが大切です。
弁護士 遠藤 吏恭