紛争の内容
会社から懲戒事由に該当するとして、懲戒解雇や諭旨解雇などの重い懲戒処分を検討されている社員の方から弁明についてご依頼いただきました。会社からは複数の懲戒事由が指摘されており、それらについて反論をご自身で行っても、会社からはしっかりと対応をしていただけず、社員の方の立場が非常に厳しい状況でした。
交渉・調停・訴訟等の経過
弁護士が代理人として、会社の懲戒委員会に対し、事実関係を争うための弁明書を提出しました。会社が主張する懲戒事由のうち、事実ではない点についてはその存在を否定し、また、事実として認められる点については、その背景事情や会社側の対応にも問題があったことを詳細に説明しました。
さらに、過去の裁判例に照らして、会社が検討しているような重い懲戒処分は違法となる可能性が高いことを指摘しました。万が一、会社が不当な懲戒処分を下した場合には、法的な手段を用いて争う可能性があることも明確に伝えました。このような弁明書を提出することで、会社に慎重な判断を促しました。
本事例の結末
弁護士による弁明書の提出後、会社は最終的に懲戒解雇や諭旨解雇ではなく、懲戒処分の中で最も軽い「譴責処分」を決定しました。これにより、懲戒解雇による失業や退職金不支給などの不利益を回避し、社員の方の生活と雇用を守ることができました。
本事例に学ぶこと
会社から懲戒処分が検討されている場合、事実関係の全てを認めてしまうのではなく、まずは専門家である弁護士に相談し、主張すべき点を整理することが極めて重要です。
本件のように、会社の主張する事実関係そのものを争ったり、事実に一部誤りがあることを指摘したりするだけでも、事案の性質は大きく変わります。また、事実が認められる場合でも、その背景事情や会社の対応に問題がなかったかなどを法的な観点から精査することで、懲戒処分を軽微なものに抑えることができる場合があります。
さらに、弁護士が代理人として法的な手段を辞さない姿勢を示すことで、会社が冷静かつ慎重に判断するよう促す効果も期待できますので、会社からの処分など厳しい状況に置かれてしまっている方は、ぜひ一度弁護士にご相談下さい。
弁護士 時田 剛志
弁護士 遠藤 吏恭