勤務先を懲戒解雇された場合、退職金を不支給またが減額する旨が就業規則等に定められ、退職金が支給されないことが一般的です。

もっとも、本来懲戒事由にはあたらないことを理由として懲戒解雇処分をされてしまったり、ときには会社が懲戒権を濫用して懲戒解雇処分としたり、という不当解雇の憂き目に遭う場合があります。

懲戒解雇処分が無効である場合だけではなく、仮に懲戒解雇処分が有効であっても、退職金を全額不支給とすることは、判例・裁判例上認められない判断が多くなされています。

退職金は、通常、①賃金の後払い的性格と②功労報償的性格とを併せ持つものであるとするのが、判例の考え方です。

特に①の点から、「不支給規定に基づきこれ(退職金)を不支給又は減額支給とすることができるのは,同規定の内容にかかわらず,当該従業員のそれまでの長年の勤続の功のうち,・・・(会社)における長年の勤続の功を抹消ないし減殺してしまうほどの著しく信義に反する行為があった場合に限られると解するのが相当である」(KDDI事件、東京地判平成30年5月30日など)とされています。

在職中の競業他社取締役就任事案については退職金の30%の支払いが命じられた事例(橋本運輸事件、名古屋地判昭和47年4月28日)、業務外の犯罪行為をした事案で退職金の30%の支払いが命じられた事例(小田急電鉄事件、東京高判平成15年12月11日)、長期無断欠勤をした事案で退職金の50%の支払いが命じられた事例(東芝事件、東京地判平成14年11月5日)などが挙げられます。

このように、懲戒解雇処分をされてしまっても、退職金が支払われる事例が多く存在するため、あきらめず、一度弁護士に相談することをお勧めします。

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