試用期間について、会社が自由に簡単に従業員の採否を決められる期間であって、気に入らない従業員であれば本採用拒否すればよいだけ、と単純に思われている方が多数と思われますが、これは誤りです。

試用期間付雇用契約の法的性質については、判例上、「本採用の拒否は、留保解約権の行使、すなわち雇入れ後のおける解雇にあた」る(三菱樹脂事件・最大判昭48.12.12民集27巻11号1536頁)、「特段の事情が認められない限り、これを解約権留保付雇用契約であると解するのが相当である。」とされています(神戸弘陵学園事件・最三小判平2.6.5民集44巻4号686頁)。そのため、試用期間中であっても、雇用(労働)契約はすでに成立していることになります。留保した解約権行使(試用期間終了後の本採用拒否)は、あくまで「解雇」にあたります。

したがって、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定める労働契約法第16条が適用されることになります。
そのため、会社側は、試用期間中の労働者に対し、社員としての適格性欠如の具体的根拠を示す必要があり、判断の妥当性も客観的に審査され、これらを満たさない場合には解約権行使(解雇)は無効となります。

本採用拒否が有効とされるか無効とされるかは、具体的事案によって、裁判例が分かれています。

会社側の立場であれば、試用期間であると安易に楽観的に考えることを控える必要があります。
労働者側の立場であれば、試用期間満了本採用拒否を、試用期間だから仕方がない、と簡単にあきらめないことです。

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