労働者側が解雇無効と考えて労働審判等を起こした場合でも裁判所が必ずしも解雇無効を認めるわけではありません。
解雇に至る事情等を考慮した結果、裁判所が解雇は有効であるという判断を下すこともあり得ます。

その場合、審判や判決では解雇有効であり労働者側の請求には理由がないとの結論になりますが、それ以前の段階で裁判所から和解を勧められる場合もあります。
和解の内容としては、①使用者は解雇を撤回し合意退職したこととする、②労働者は金銭請求を行わない(もしくは1月分程度の賃金を解決金として受領する)等が考えられます。

裁判所が解雇有効と考えるのであれば使用者側としては和解に応じるメリットはないと思われるかもしれませんが、審判や判決となった場合には労働者側で異議や不服を申し立てることができますので、早期解決の観点から使用者として上記のような和解に応じることもあります。

労働者にとって解雇が撤回されるということは今後の再就職等にあたり重要な事柄となりますので、裁判所が解雇有効と判断するような場合でも解雇撤回等を内容とする和解は可能かの検討は行うべきかと思います。