紛争の内容

ご依頼者の方が、勤務先から懲戒解雇の処分を受けました。会社側は長期間にわたり段階を経て解雇の手続きを踏んでおり、裁判に移行した場合、懲戒事由に当たる行為が一切なかったとまでは言い切れず、解雇の有効性が認められる可能性も十分にあり得る事案でした。

交渉・調停・訴訟等の経過

本件は、懲戒解雇という会社にとっての最終手段が、本当に「最終手段」として適法であったのかという点を焦点に、訴外での交渉段階から厳しく追及しました。

会社側は、これまでの指導歴を含む全ての記録が残っていると主張していたため、その記録の開示を求め、その内容を詳細に確認した上で、解雇手続きの妥当性について厳しく追及しました。

本事例の結末

訴外での厳格な追及の結果、会社側から給与2か月分であれば支払うという和解の提案がありました。この提案を受け入れ、最終的に訴外にて和解が成立し、早期に紛争が解決しました。

本事例に学ぶこと

一見不利な状況でも調査を尽くすことで、ご依頼者の方にとって解雇の有効性が認められる可能性があります。

厳しい事案であっても、安易に諦めることなく、会社が保有する全ての記録を徹底的に調査し、交渉材料を見出すことが重要です。

懲戒解雇は企業にとって最も重い処分であり、真に最終手段であったのかという手続き上の妥当性を厳しく問い詰める交渉姿勢が、裁判外での和解という結果を引き出す決定打となりました。

訴訟に移行した場合、解雇の有効性が認められ、結果的に金銭的な解決を得られないリスクがあった中で、訴外での和解によって確実な金銭的利益を早期に確保し、ご依頼者の方の利益を最大化することができました。

弁護士 遠藤 吏恭